![]() |
PSP版の特典タロットと共に |
2015年10月6日、
『タクティクスオウガ』が20周年を迎えました。
機種はスーパーファミコン。メーカーはクエスト社です。
複数のゲーム機に移植され、2010年にはPSPでリメイク版も発売。
ジャンルはシミュレーションRPGです。
私はオススメのゲームを尋ねられたとき、SRPGやRPGの場合は本作を挙げることにしています。理由はゲームとして面白いことはもちろん、その物語がきっと忘れられない体験をもたらしてくれるからです。
本作はそれまでのんびりゲームで遊んでいた私に衝撃を与えたゲームでした。一つの事件と言えるほどのインパクトを残していった本作は私がゲームで遊び続けている理由の一つだと思っています。今回はスーパーファミコン版について語ってみました。
ゲームの概要説明は以下のURLに。
ご存じでない方はこちらからどうぞ。
画面画像も掲載されています。
(「VC タクティクスオウガ」 任天堂ホームページ 2015年10月7日閲覧)
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_to/index.html
あらすじ
民族間の紛争が絶えないヴァレリア島。
覇王ドルガルアによって一度は統一を果たされたものの、後継者不在のまま王が死去したことにより再び内乱状態に陥る。少数民族であるウォルスタ人の青年デニムはレジスタンスとして活動していたある日、敵である暗黒騎士団団長がやって来るという情報を手に入れ、姉と友人の3人で暗殺を計画する。
希望とともに絶望があり、悲しみとともに栄光がある
「オウガバトルサーガ」第7章、イシュタルの教えより
この一文はソフト外箱の裏に載せられている言葉です。何やらただ事ではない感じはしませんか?本作はオウガバトルサーガシリーズの第7章にあたります。サブタイトルは「Let Us Cling Together」。プレイヤーの最終的な目的は島の内紛を終結させること。島、そして登場人物たちの運命は選択次第で大きく変わってきます。
まず何より遊んでいて楽しいんですよね。
ウェイトターン制が面白いです!ユニットは敵味方入り乱れて、各自の速さで行動順が回ってきます。速さはレベルやクラスだけでなく、装備品の重量でも変化します。魔法等も駆使してターンをいじくるのも重要。私の場合は武器、指輪、首飾り、オーブを装備した防御無視ユニットが毎周出ます。殺られる前に殺っとけ、という発想です。
戦闘時、高低差や向きによって攻撃の命中率や威力が変わるのも面白い。機動力によるユニット選びもわくわく。そして勧誘が熱い。カノぷ~が飛ぶ姿が頼り甲斐溢れてかっこよすぎる。まさに理想のアニキ。
戦闘はもちろんですが、チームを編成している時も楽しいです。様々な職業(クラス)と種族で個性豊か。使いたくなるキャラがたくさんいて、誰を選ぶか毎回とても迷います。おばけ、骨、かぼちゃ人間、フェアリーが出撃枠を圧迫……!
周年ということで、この度所有するSFC版カートリッジを確認したところ、データは生きていました。遊びかけのデータを見てみると、そこは某島某平原。アタックメンバーは弓装備でロクな防具も身につけず超機動力重視。かぼちゃに飢えた集団がそこにいました。
制限をつけて遊ぶようになると更に楽しいです。出撃人数を減らしたり、使用するユニットやアイテム、魔法に制限をかけたり。昔入手した同人誌に本作の制限プレイの様子を描いたマンガがあり、印象的でした。AT全員LV10台死亡ゼロLパーフェクトエンド、私も挑戦してみたいものです。
画作りは楽しさと渋さが違和感なく同居。
人間キャラは2.5頭身くらい。ちんまりかわいらしいドットグラフィックです。本作の影響を感じる雰囲気のゲームは今も時折見かけます。でも遊んでる間はそんなにかわいい!とは感じない。動きや表現が豊かで、場面とその空気をしっかり描写しています。
とことん悲惨な光景が広がる場面もあるし、傷ついた人々の表情、痛々しい姿は印象深いです。むかつく仕草のイヤな奴もいる。わっはっはっは。そしてステータスやメッセージに表示される顔グラフィックはリアル調で渋い。全般的に「媚び」が薄く、かなり硬派なゲームだと思います。
音楽はまさに名曲揃い。
管楽器が印象的なサウンドです。世界は広く、そして闇が深い。BGMを聴きたくて操作を決めることも多かったです。タイトル画面で放置したり、行き先のマップを決めたり……。本作の楽曲も語り出したらキリが無いので少しだけ。
・私にとってデニムや仲間たちの姿と強く結びついているのは「飲酒運転」。
歴史の渦の中で必死に抗う彼らを思い出すのです。
・特にお気に入りなのは「明るさの限界を突破」。
流れるタイミングが良かった。勢い付いて一気に駆け上がりました。
・オルゴールのシーンに関しては是非オリジナル版を体験して欲しい……。
※曲名はミュージックモードのものを引用しました。
遊び心溢れるタイトルと、作曲意図を簡潔明瞭に解説するコメントが好きで、
時々MUSIC_ONしてます。
どこを切り取っても逸品な本作ですが、語る上で外せないのは、やはりそのストーリー。激動の時代のヴァレリア島では、衝撃的な事件が次々に起こります。善悪や正義はその人の思想や立場によって違う。それぞれ重いものを背負いながら懸命に進んでいく人物たちの生き様には考えさせられることが多かったです。
選択によって分岐していく物語のそれぞれが異なった歴史を描きます。そして、その全てが揃っているからこそ『タクティクスオウガ』だと思います。
初めて遊んだ時、私はオクシオーヌよりも年下だったけれど、それから何年も経って登場人物たちの年齢をどんどん追い越していって、人物たちの印象が変わりました。年齢設定と言動が絶妙です。深い洞察力をもって練られ、ピースがそれぞれきれいに収まった物語だと感じます。
今ではロンウェー公爵から見えたものや考えが少しは理解できるようになったかも。問題のアレはあの状況では結構現実的な判断だったかもしれないとすら思います。でも公爵のその判断を私が受け入れることはこれからも無いと思う。だから、デニムの性格は遊ぶ度変わりますが、私の性格はずっとC。政治家になるつもりは無いし、オトナになんてならなくていいやい。
でも、私と違う道を選んだデニムくんの物語も味わい深くて好きです。助けてくれた「彼」にありがとう。人生どうなるか分からないものですね。まあ、「彼」の場合は極端すぎるけど。
さて、終わりになりますが、この記事は本作について書く初めての記事なので、なるべくネタバレを避けるようにして書いてきました。このゲームの一周目は事前情報無しで体験して欲しいと思うからです。
知り合いに勧めた後も毎回気をつけるようにしています。もし気になった方はまず1章を遊んでみてください。そしてうまい感じに乗れたなら一周してみてください。
きっと何か得るものがあるのでは、と私は思うのです。
2018年8月8日:改行箇所を修正しました。