『ヨッシーウールワールド』の編み目は丁寧です


※本記事は2015年に発売されたWiiU版の感想です。

 そろそろ冬ですね。
 『ヨッシーウールワールド』が一段落ついたので改めて振り返ってみます。
ふんわりかわいい見た目と裏腹にしっかり骨太、親切心に溢れつつ質実剛健、とても丁寧なゲームという印象を受けました。
 全コースをクリアし、毛糸とフラワーの収集を完了した時点での感想です。

http://www.nintendo.co.jp/wiiu/aycj/index.html
(『ヨッシーウールワールド』公式サイト 2015年11月25日閲覧)

あらすじ
 あみぐるみヨッシーたちが暮らす平和な小島、クラフトアイランド。
 ある日カメックの襲撃を受け、ヨッシーたちは、魔法で毛糸玉にバラバラにされた上、連れ去られてしまいます。難を逃れた2人のヨッシーは仲間たちを探す旅へ出発することにしました。


・丁寧で堅実なゲームです

 ゲームとしては横スクロールアクションで、ふんばりジャンプしたりタマゴを投げるいつもの『ヨッシー』。本作は様々なシチュエーションのステージが50以上。色々なギミックでたっぷり楽しませてくれます。
 各コースはただ通り過ぎるだけでなく、ヨッシーを編むための毛糸玉が5個とフラワー5個、ハンコ20個が隠されています。隠し方も様々。じっくり歩いて観察して見つけ出そう。
 なかなか難しいステージも存在。かなりストレスフルな場面も。それでも本作を遊び終えた感想は「楽しかった」。決して飽きさせず、緩急をつけて最後まで楽しませてくれました!

 任天堂さんが『マリオメーカー』を通してプレイヤーに愛される理想的なコース作成のコツをレクチャーしていますが、”緊張させっぱなしにせず、それを解して楽しめる場面を作るのが大事”といった旨の文言が何度か登場しています。
 そのことを頭に入れて本作を遊ぶと、さすがプロのお仕事に感心します。特に印象的だったのは5-Sというコース。ゲームを通した構成における位置づけが本当に上手い。本作はとても丁寧で堅実な作りの良いゲームだと思います。でも最後の最後のあのコースに関してはごまかされないぞ。展開と音楽になんか感動させられちゃったけど!でもやっぱり難しかった!!

 難しい!もうダメ!そんな時、差し伸べる手が。
本作はお助けシステムが二種類用意されています。
・便利な機能のついた各種バッジ
・いつでも切り替え可能、はねヨッシーで難易度低下のエンジョイモード

 私の場合、始めの頃は使わずに進んでいましたが、ある程度進んだ辺りからコースの難易度が上昇したので路線変更。用意されてるものはドンドン使うことにしましたが、それでも苦戦する場面も。終盤は場合によってモードも使い分けました。
バッジ選びはゲームにおいて装備品選びの楽しみに近いものを感じます。
ガチ派は”おなじみモードバッジ無し花丸ゴール”を目指すのはいかがでしょう。一部のコースはなかなかの歯応えになると思います。上級者ゲーマーさんも中々に楽しめるのではないでしょうか?

 あと、ヨッシーのゲームを遊んだことがある人には思わずニヤリとする場面も。カメックには怒られちゃったけど、あの状況は普通に投げつけちゃうでしょ!

 基本的に大満足なのですが、中にはいくつか不満もあります。
 特に残念だったのはローディング画面。
ロード中に読込中のコースに関するmiiverseの投稿が表示されるのですが、私の場合、あるユーザーによるネタバレ投稿を何コースにも渡って見せられました。別に難所攻略のヒントでもない単純なネタ明かしのみで、ただ純粋に興を削ぐだけ。とても良いゲームなだけにそれが本当に残念でした。結局、WiiU内に別に用意したNNID未登録アカウントで遊ぶことでロード中のmiiverse投稿を非表示にしました。あれ、本人は悪気が無いっぽいから余計にタチが悪いんだよなぁ……。

カニスキーのがま口には遊び心がいっぱい詰まってました

・遊び心と工夫がいっぱいなウールワールド

 本作の特徴として外せないのはやはりそのグラフィック。世界を作るのは毛糸だけでなく木、ビーズ等、手芸で登場するアレコレ。「こう来たか!」と表現に感心させられる場面も。切り方や編み方、縫い方も工夫されていてとても面白いです。記事を書く上で確認のために立ち上げたところ、ついうっかり小一時間程ゆっくりお散歩してしまいました。

 ふんわりした編みぐるみヨッシーたちはとても可愛らしいです。しかし、王道的なかわいさのものは意外と少ない。なんだかちょっぴり変なものや強烈な色合いのもの、アイデンティティを心配してしまうものなどなど様々な個性を持ったヨッシーがいっぱいです。私はシトラスヨッシーやウインターヨッシー等がお気に入り。あ、両方共これからの季節にぴったりかも。シトラスさん、鼻先がみかんのヘタになっていてかわいい!
 
 そして今回、意外だったのがポチ。
『ヨッシーアイランド』の頃は「なんじゃこりゃ」で終わっていたのですがいつの間にかかわいらしくなっていて驚きました。仕草がとっても良いんです!
 あと、ひよこやペンギンのようなかわいい鳥好きにかなりオススメ。すごいコたちがわらわらうろうろしてます!もう眺めてるだけで幸せ。はやく、まずはワールド3まで来るんだ!
 私の場合、アクションゲームの敵キャラってどんなにかわいくても衝突したりするとイラッとしちゃうことが多いのですが、何されてもオッケーオッケーなキャラが一体居たことを思い出しました。必死に床の棘を避けながら向こうの安否の心配をしてしまう程のキャラ。ターくん、毛糸になってもやっぱり最っっ高にかわいい……!ヨッシーがターくんを飲み込めない理由は「かわいすぎるから」説を推します。


・宝石いっぱい!名曲揃いなサウンド

 そしてこのゲーム、音楽が素晴らしい上に芸風がかなり広い。ボリュームたっぷりかつ逸品揃いでまさに大当たりですよ!アコースティックなサウンドはもちろん、様々な曲が登場。ビッグバンドジャズ、手回しオルガン、アラビアン、トランス等々、どの曲も聴きやすく心地よい仕上がり。嫌味雑味を一切感じず、いつまでも自然に聴いていたくなります。
 あみぐるみの可愛らしさにアレルギーを起こす厨二病方も身構えなくて大丈夫。ワールドボス戦の曲はかなりかっこいいものが揃っています。まさかドラムンベースが出てくるとは思わなかった。
 感情を揺さぶるメロディー、自然と乗っちゃうリズム、イカしたベース。曲としてきちんと独り立ちしつつ、ゲームを邪魔せず楽しくしてくれるBGMは、手作り感あるグラフィックとマッチして、とても魅力的な世界を作り出しています。おもいでシアターで音楽を聴くためだけにWiiUを立ち上げることも多々あります。サントラ出して欲しいなぁ……。

 しっかり画面に注目しながら歩いていくタイプのゲームにはじっくり眺めて楽しいグラフィックと、
長く自然に聴いていられるサウンドがぴったり。ヨッシー×毛糸の組み合わせはまさに相性バッチリでした。


・おわりに

 本作は、丁寧な作りな粒揃いのパーツを揃えつつ、それらがしっかり組み合わさってバランスの良い逸品となっています。ぱっと見た時、本作はどちらかというと地味なゲームだと思います。熱狂を呼び起こすような、尖った部分は無い。でもそれって必ずしもゲームに必要なことではない。ウールワールドにあったのは安心感とぬくもりでした。

 丁寧で温かく、優しくて控えめで気配りが良く出来て、かわいい。
 時々スパルタでいじわるだけど、褒め上手できちんと仲直りできる。
 私、こういう人間になりたいなぁ、と思うのでした。




見落としがちかもしれないヒント少々(以下反転)
カチカチくんは舌で押した時と毛糸玉をぶつけた時で挙動が違う。使い分けよう。
アイスムーチョの氷の吐息に当たるとヨッシーは凍ります。


※2017年1月22日、記事頭にWiiU版であることを明記。本文を一部修正しました。
3DS版発売おめでとうございます!!


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