大きなサバクと小さなネズミ




『サバクのネズミ団』で遊びました。
2016年9月26日発売された3DS向けダウンロードソフトです。
http://www.arcsystemworks.jp/arcstyle/nezumidan/

 こちらはニンテンドーeショップの新春初売りセール(2017年)をきっかけに購入したのですが、取り上げられたのも納得の面白さでした。程よいボリュームで幅広い層が楽しめる秀作だと思います。ああ面白かった。


あらすじ
 宇宙の何処かのサバクの星に生息するネズミたちは、移動要塞サバクフネの上で暮らしています。彼らの目的地はどこかに存在すると言われるマボロシの黄金郷。手がかりを追いながら、日々スクラップを集めてクラフトし、様々な脅威と戦いながら進んでいくのでした。


味わい深い世界です
 まず目を引くのは味のあるドットグラフィック。ネズミがちょこまか動き回るのがかわいいです。彼らが乗っているサバクフネはスチームパンク的な雰囲気も醸すツギハギな鉄の塊。美しくはないけれど重量感があって良いです。生きていくための現場であり、見た目なんて追求してる場合じゃない!と言わんばかりのフォルムは力強さを感じてそれもまたかっこいいというか。ゲーム中は中々眺められなかったけれど背景も良いですよ。サバクの上に広がる遥かな空が印象的です。時折登場するネコもかわいいですよ!
 音楽も良いです。乾いた砂漠を感じさせるサウンドは寂寥感に満ちた響きで、この世界の空気を彩っています。バリエーションは少ないけれど聞き飽きることは無かったし、切り替わりのタイミングも効果的で心にグッとくる瞬間も。


やりがいと充実感溢れる職場
 目指せ黄金郷!ネズミ団が行うことは主に4つ。
・サバクにフネを走らせる
・手に入れた資材で色々作ったりフネを改造したり
・街に着いたら人々から依頼を受けてお金稼ぎ
・酒場で様々な情報を入手して更なる新天地へ出発

 操作は主にタッチペンで行います。3DSの上画面ではフネ全体の様子が、下画面には拡大された一部が、以下の2枚の画像のように表示されます。上画面のグリーン範囲内が下画面に拡大表示されるので見たい場所までペンやスライドパッドで動かしましょう。
 船内の活動は部屋毎にタスクの予定を設定することでネズミに仕事させます。タスクは各部屋5つまで設定可能で予約順に処理されます。個々のタスクは繰り返しのオンオフが可能です。
 ネズミはつまんで好きな場所へ運べます。それぞれに持ち場を設定することで、ある程度は個々の行動をコントロールが可能です。同じ仕事を続ければ技能が熟達しますし、ベッドへの配分は繁殖に関わります。ネズミの管理はやること自体は少ないですが地味に超重要です。
 目的地を指定すればフネは勝手に進んでいきますが、道中は船内活動が結構忙しいので待ちゲー感はほぼ無いです。計画を立てて仕事を進めていくのはワクワクして結構好きです。
↑上画面

↑同じ瞬間の下画面

 サバクフネのカスタマイズはかなり楽しいです。フネのどこに何をいくつ置くかは基本的にプレイヤーの自由です。ネズミたちの動きを考えつつ資材を準備して建造していきます。フネの開発が進んで作れるものが増えるとうれしくなっちゃいます。
 フネの設備は様々な種類のものがあり、揃えていくと出来ることがどんどん増えていきます。資材を分解したり組み立てたり溶かしたり、ネズミたちは意外とすごいものを作れますよ。寝食のためキッチンやベッドも必要だし、ネズミを狙う危険生物と戦うための銃も設置しましょう。
 バランス良く纏めるだけでなく、かなり尖ったスペックのものも作れそうです。これはかなりやりこみ甲斐ありますよー。フネのサイズも本記事に載せた画像のもの以外に複数あります。キミだけのフネを作り上げよう!

 遊び終えて感じたのはとても良くバランスがとれているゲームということ。時間をかけてフネを整備し街で情報を仕入れれば、きっと誰でもきちんと進めるはず。ゲーム序盤の要所要所で挟まれる丁寧なチュートリアルは親切で、よく分からないままゲームオーバーということはほとんど起こらないと思います。でも温いという訳でなく、舐めてかかるとフネが沈むこともあるのでご注意を。運が絡む部分もあるけれどそこまで重要ではないし、理不尽を感じることがほぼ無くほぼストレスなく楽しめました。
 ゲームのボリュームはそこそこな感じで、大作ストーリー!という訳ではありません。しかしながらやり込み始めるとかなり長く付き合っていけそうです。というか踏み込んだら一気に蟻地獄化しそうな予感がしたので、いずれまた改めて手を出そうとおもいます。フネいじり楽しいです。


小さくたって輝いてる
 いつだって大騒ぎのネズミ達に対して、船外に広がる砂漠はどこまでもゆったりとして静かです。本作は多くを語りません。星の歴史も断片的にしか知ることができないので、想像を掻き立てられます。荒涼とした星の時間は泰然と流れていくけれど、そこに生きる小さなネズミたちはなんだか健気でもあり、その姿には愛着すら湧きます。一つ一つ物を拾うたび喜び、毎度の食事を楽しみ、時に巨大な敵にも立ち向かう。エンディングを見たので私は一旦旅を終えますが、一緒に黄金郷を目指したあのコ達の未来が愉快で幸せなものであってほしいと思うのでした。元気でやっていけよー。




・なんか変だな?と思った場合のセーブについてのメモ書き
 ネットを検索しても似た事例に遭遇できなかったので一応記しておきます。これは仕様なのかバグなのか分からなかったのですが、船内全てのネズミが食事を摂る以外の行動を一切止めてしまうということが同一データで原因不明なまま二度ほど起こりました。そうなった場合はセーブせずにゲームを一度終えて起動し直す方が良さそうです。この症状に陥ってからセーブして再起動したところ同じ状況から続行し、ネズミが再び働き出すことはありませんでした。(食料が尽きた後どうなるか、ネズミが全員餓死するまで流してみるべきだったとは思いますが可哀想なので試すことができませんでした……。)